気まぐれお嬢様にご用心☆
「あれ?楓と伶はどこ行った?」
さっきまで数歩先に居たのに──。いつの間にか忽然と姿を消した二人。
祭会場は十五分程歩いたところにある近所の神社。
いつもは静かなハズのそこは『祭』という名のおかげで流石に今日はごった返していた。
歩く度に人、人、人。
人にぶつかる。
「翼、見つかったか?はぐれないようにしっかり手をつないでろよ」
さっきより強く俺は翼の手を握り返した。
「うん……」
必死に人を掻き分けながら前に進むが、楓と伶の姿は見当たらない。こんな時、頼りの綱である携帯電話は何故か二人とも『圏外』。
「駄目だ。こうなったら……二人で回ろうぜ!」
「……えっ?」
「嫌か?」
「別に嫌じゃないけど……」
やっとのことで人ゴミから抜け出した二人。
翼の視線に気付いた俺は、放すタイミングを失った手を素早く解く。
「ごめん、痛かったか?」
「ううん、平気。……千晶!行こうっ!」
俺の腕にそっとつかまると翼はゆっくり歩き始めた。
端から見たら異様な光景かもしれない。
何しろ『女』と『女』と仲良く腕組みしてるのだから。
でもこれは俺たちだけの『秘密』。
その何とも言いようのない優越感がとても心地よかった。
さっきまで数歩先に居たのに──。いつの間にか忽然と姿を消した二人。
祭会場は十五分程歩いたところにある近所の神社。
いつもは静かなハズのそこは『祭』という名のおかげで流石に今日はごった返していた。
歩く度に人、人、人。
人にぶつかる。
「翼、見つかったか?はぐれないようにしっかり手をつないでろよ」
さっきより強く俺は翼の手を握り返した。
「うん……」
必死に人を掻き分けながら前に進むが、楓と伶の姿は見当たらない。こんな時、頼りの綱である携帯電話は何故か二人とも『圏外』。
「駄目だ。こうなったら……二人で回ろうぜ!」
「……えっ?」
「嫌か?」
「別に嫌じゃないけど……」
やっとのことで人ゴミから抜け出した二人。
翼の視線に気付いた俺は、放すタイミングを失った手を素早く解く。
「ごめん、痛かったか?」
「ううん、平気。……千晶!行こうっ!」
俺の腕にそっとつかまると翼はゆっくり歩き始めた。
端から見たら異様な光景かもしれない。
何しろ『女』と『女』と仲良く腕組みしてるのだから。
でもこれは俺たちだけの『秘密』。
その何とも言いようのない優越感がとても心地よかった。