気まぐれお嬢様にご用心☆
俺はとんでもない決断をしてしまったのだろうか──?
その『答』はまだ……分からない。
「じゃあ、これはその『しるし』」
……楓?
彼女はそう言うと優しく俺にキスをした。
重なり合う口唇。
あの時とは違う……感触。
それは……きっと、
心が通じ合えたから──?
ニャ~っ。
アリス……?
翼の愛猫のアリスが、半開きになっていた扉を身体でくいっと押しながら入ってきた。
何故アリスがここに居るのか?それが理解できた時には、全てが遅かった。
翼……。
見られてた?今の──。
彼女はアリスを置き去りにしたまま走り出す。
「翼っ!」
俺は無意識に彼女の背中を追いかけていた。
「待てよ!」
彼女に追いつき必死で手首を掴んだ。その力はとても強くて重い。
「放してよ」
「放さない。俺の話を聞いてくれるまでは」
「楓のことが好きなんでしょ。今更言い訳?そんな事、私には関係ない!千晶が誰を好きだろうと私には関係ないじゃないっ!」
「だったら!どうして!逃げるんだよ!俺から逃げようとするんだ!」
「それは……」
「楓から聞いたよ。翔さんが好きだってこと。楓は……お前が好きだと知って別れたんだよ」
「?!」
「お前はまだあの人のことが好きなんだよ……俺には分かる。……自分の気持ちに嘘をつくな」
自分の気持ちに『嘘』。
それは──俺にも言えることなのではないだろうか?
「私は……」
「行けよ、翔さんのとこに」
俺はあの人とは争う気はない。何故ならお前の中にはあの人がいるから……。それを忘れさせることはできない。
「千晶は楓のこと好きなの?」
「……好きだ」
俺はゆっくりと彼女の腕を解き放した。
それ以上、拘束する権利はないと思ったから。
翼が何を言おうしたのかは分からなかったが、今の俺には彼女を好きでいる資格はない。
楓のこと好きになるって決めたから……。裏切ることはできない。
彼女の温もりが残っていた右手を見つめながら、俺はグッと握りしめた。
その『答』はまだ……分からない。
「じゃあ、これはその『しるし』」
……楓?
彼女はそう言うと優しく俺にキスをした。
重なり合う口唇。
あの時とは違う……感触。
それは……きっと、
心が通じ合えたから──?
ニャ~っ。
アリス……?
翼の愛猫のアリスが、半開きになっていた扉を身体でくいっと押しながら入ってきた。
何故アリスがここに居るのか?それが理解できた時には、全てが遅かった。
翼……。
見られてた?今の──。
彼女はアリスを置き去りにしたまま走り出す。
「翼っ!」
俺は無意識に彼女の背中を追いかけていた。
「待てよ!」
彼女に追いつき必死で手首を掴んだ。その力はとても強くて重い。
「放してよ」
「放さない。俺の話を聞いてくれるまでは」
「楓のことが好きなんでしょ。今更言い訳?そんな事、私には関係ない!千晶が誰を好きだろうと私には関係ないじゃないっ!」
「だったら!どうして!逃げるんだよ!俺から逃げようとするんだ!」
「それは……」
「楓から聞いたよ。翔さんが好きだってこと。楓は……お前が好きだと知って別れたんだよ」
「?!」
「お前はまだあの人のことが好きなんだよ……俺には分かる。……自分の気持ちに嘘をつくな」
自分の気持ちに『嘘』。
それは──俺にも言えることなのではないだろうか?
「私は……」
「行けよ、翔さんのとこに」
俺はあの人とは争う気はない。何故ならお前の中にはあの人がいるから……。それを忘れさせることはできない。
「千晶は楓のこと好きなの?」
「……好きだ」
俺はゆっくりと彼女の腕を解き放した。
それ以上、拘束する権利はないと思ったから。
翼が何を言おうしたのかは分からなかったが、今の俺には彼女を好きでいる資格はない。
楓のこと好きになるって決めたから……。裏切ることはできない。
彼女の温もりが残っていた右手を見つめながら、俺はグッと握りしめた。