気まぐれお嬢様にご用心☆
第九章 偽りの『恋』、真実の『愛』
好きでいるための『資格』。そんなものいるのだろうか──。自分の気持ちに嘘をついても守りたいモノ……それは──。
「……翼」
「お兄ちゃん……」
「どうして泣いているんだ?」
「あれ?なんでだろ、おかしいよね……涙が……止まらないよぅ」
「無理するな……泣きたい時は泣けばいい」
「うん……」
彼は翼を抱き寄せると静かに涙を流した。
その涙にはいろんな思いが含まれていて……。
キラキラ輝いていた──。
翼とはあれ以来言葉を交わす回数が減った。隣だった席も席替えというクラスのイベントにより、俺たちは見事に端と端、対角線という位置に落ち着いた。
「翼となんかあった?」
「!?」
昼休み、俺は階段の踊り場から窓の外をぼっーと眺めていると、背後から翔に語りかけられた。
「センセ……」
「腑抜けた顔しやがって……何があったのか話してみ」
「翼は今もまだあなたのことが好きなんですよ」
「それは……どうかな?彼女から直接聞いたのか?」
いや……俺の勝手な思い込みで。
「……」
「その分だと聞いてないって感じだな。仕方ねぇな……お前が気付いてないようだから教えてやる。翼が好きなのはお前だよ、千晶」
俺……。
翼が好きなのは……。
『俺』
なのか──?
「でも……俺はあいつには答えられない。俺には……」
「フフフ……」
「?」
笑い?
「楓のことか?それなら気にするな。彼女は芝居してただけだから」
ハイ?芝居?
「じゃ、俺が好きだって言うのは」
「それは『嘘』」
嘘……。
ってことは『偽り』ってことか……。
意味同じだし……って!一人ツッコミしてる場合じゃねぇだろ!
「あの……よく事情が飲み込めないんですけど」
「要するに楓はお前が翼のことでウジウジしているから、自分が好きだと言えば、本当の『愛』に気付いてくれると思ったらしい」
「じゃ、楓と別れたって言うのは……」
「それは本当。でもやっぱり俺には楓しかいないから」
ヨリを戻したってわけかっ!
「……でも彼女には許婚が」
「それなら大丈夫。伶とは先日、婚約解消したから」
……婚約解消?!
「……翼」
「お兄ちゃん……」
「どうして泣いているんだ?」
「あれ?なんでだろ、おかしいよね……涙が……止まらないよぅ」
「無理するな……泣きたい時は泣けばいい」
「うん……」
彼は翼を抱き寄せると静かに涙を流した。
その涙にはいろんな思いが含まれていて……。
キラキラ輝いていた──。
翼とはあれ以来言葉を交わす回数が減った。隣だった席も席替えというクラスのイベントにより、俺たちは見事に端と端、対角線という位置に落ち着いた。
「翼となんかあった?」
「!?」
昼休み、俺は階段の踊り場から窓の外をぼっーと眺めていると、背後から翔に語りかけられた。
「センセ……」
「腑抜けた顔しやがって……何があったのか話してみ」
「翼は今もまだあなたのことが好きなんですよ」
「それは……どうかな?彼女から直接聞いたのか?」
いや……俺の勝手な思い込みで。
「……」
「その分だと聞いてないって感じだな。仕方ねぇな……お前が気付いてないようだから教えてやる。翼が好きなのはお前だよ、千晶」
俺……。
翼が好きなのは……。
『俺』
なのか──?
「でも……俺はあいつには答えられない。俺には……」
「フフフ……」
「?」
笑い?
「楓のことか?それなら気にするな。彼女は芝居してただけだから」
ハイ?芝居?
「じゃ、俺が好きだって言うのは」
「それは『嘘』」
嘘……。
ってことは『偽り』ってことか……。
意味同じだし……って!一人ツッコミしてる場合じゃねぇだろ!
「あの……よく事情が飲み込めないんですけど」
「要するに楓はお前が翼のことでウジウジしているから、自分が好きだと言えば、本当の『愛』に気付いてくれると思ったらしい」
「じゃ、楓と別れたって言うのは……」
「それは本当。でもやっぱり俺には楓しかいないから」
ヨリを戻したってわけかっ!
「……でも彼女には許婚が」
「それなら大丈夫。伶とは先日、婚約解消したから」
……婚約解消?!