気まぐれお嬢様にご用心☆
「あ~っ!疲れた」

自分の部屋に辿り着くまでがすごく長かった気がする。
これもそれもみん~なあいつのせいだ。
千晶は大きなベットにゴロンと横になる。

「こりゃ、大人五人は寝れるな」
全てが広い!大きい!豪華!なこの屋敷では今までの常識が通じないような気がするのは気のせいだろうか。


コンコン。


誰かが扉をノックする音が聞こえる。

「はい、どうぞ」

千晶は何かに怯えるようにそっと扉をあけた……。

げっ!

お前はさっきの……。

「なんだよ。自分から半径三メートル以内に近づくなとか言っておきながら、もう既に三メートル以内だぞ」

「何を言っているのか分からないわ」

「え?だって今、下で会ったばかりだろ……確かお前の名は翼って」

「うふふふ。いやだわ~私は翼の双子の妹、『桐生楓』(きりゅうかえで)」

ふっ双子ぉ~っ!!あいつと同じ顔の奴がこの世に二人もいるのか……考えるだけで頭痛くなりそう。
ってことは……、

「お前も俺のことをけなしに来たのか?」

「被害妄想の激しい人。そんなんじゃないわよ。これをあなたにあげようと思って」

俺に?プレゼント?

「ほんの気持ちよ!今日はバレタインデーでしょ。お近付きのしるしっ!!どうか受け取って下さいなっ(はぁと)」
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