気まぐれお嬢様にご用心☆
第十章 『秘密』の代償
「間に合ったぁ~」
席に着いて俺はスカートのポケットがやたらに軽いことに気付く。
あれ?定期が……ない。
ポケットに手に入れて確認するがそれらしきものの気配はない。
落とした……?
もしかして──あいつとブツかった時?
ヤバイ……。早く見つけなきゃっ!
この時間の授業はいつも以上に頭に入らなかった。
いや、それどころじゃなかったと言った方が正しいかもしれない。
「えっ……と、確かこの辺りであの子とぶつかって……あれ?おかしいなぁ……」
放課後、そっこー教室を飛び出してきた俺。
もう一度例の場所へ向かうために。
なっ……無い……。
背筋にさっーと冷たいモノが走る。
定期が無いということより、中身を見られて『男』ということがバレるのが俺にとっては一大事なのだ!
これ以上、秘密がバレたくないってに~っ!
俺のバカバカバカ~ぁ!!!
ここで自分を責めてももう何も事態は進展しない。
もしかして……あいつなら何か知ってるかも!
しかし一年生ということしか分からない現時点では、探すことさえも困難な状況……。
せめて名前だけでも聞いておけばよかった──と思ってみても時すでに遅し。
こうなったら……、
とにかく校門の前で待ち伏せして──。
いや、もう帰っているかも?
ど、どうしよぅ~っ!
「波柴千晶……さん?」
「あっ、はいっ」
俺の名前を呼ぶ声。
反射的に返事をして振り向くと……、
さっきの──。
あの子が居た。
「やっぱり来た!」
やっぱり?
「……それってどういう」
「はい、これ!探してたんでしょ!」
……『定期入れ』だぁ~っ!
愛しの定期っ!会いたかったようっ~!
俺は彼女の差し出されたものにすがった。
が、すぐに我に返る。
「まさか……中身見た?」
「勿論!しっかりバッチリ!(ピース)」
ってことは──、
「……俺の秘密も?」
「はいっ!」
少女のこの屈託のない万遍の笑みが俺には怖くて仕方なかった。
席に着いて俺はスカートのポケットがやたらに軽いことに気付く。
あれ?定期が……ない。
ポケットに手に入れて確認するがそれらしきものの気配はない。
落とした……?
もしかして──あいつとブツかった時?
ヤバイ……。早く見つけなきゃっ!
この時間の授業はいつも以上に頭に入らなかった。
いや、それどころじゃなかったと言った方が正しいかもしれない。
「えっ……と、確かこの辺りであの子とぶつかって……あれ?おかしいなぁ……」
放課後、そっこー教室を飛び出してきた俺。
もう一度例の場所へ向かうために。
なっ……無い……。
背筋にさっーと冷たいモノが走る。
定期が無いということより、中身を見られて『男』ということがバレるのが俺にとっては一大事なのだ!
これ以上、秘密がバレたくないってに~っ!
俺のバカバカバカ~ぁ!!!
ここで自分を責めてももう何も事態は進展しない。
もしかして……あいつなら何か知ってるかも!
しかし一年生ということしか分からない現時点では、探すことさえも困難な状況……。
せめて名前だけでも聞いておけばよかった──と思ってみても時すでに遅し。
こうなったら……、
とにかく校門の前で待ち伏せして──。
いや、もう帰っているかも?
ど、どうしよぅ~っ!
「波柴千晶……さん?」
「あっ、はいっ」
俺の名前を呼ぶ声。
反射的に返事をして振り向くと……、
さっきの──。
あの子が居た。
「やっぱり来た!」
やっぱり?
「……それってどういう」
「はい、これ!探してたんでしょ!」
……『定期入れ』だぁ~っ!
愛しの定期っ!会いたかったようっ~!
俺は彼女の差し出されたものにすがった。
が、すぐに我に返る。
「まさか……中身見た?」
「勿論!しっかりバッチリ!(ピース)」
ってことは──、
「……俺の秘密も?」
「はいっ!」
少女のこの屈託のない万遍の笑みが俺には怖くて仕方なかった。