気まぐれお嬢様にご用心☆
「……もうすぐ二十時か、そろそろ帰ってくる頃だな」
──コチコチ……コチ。
時計の秒針がヤケに響いて、いつもより大きく聞こえる。
おもむろにに外のガレージを見るが、まだ車が入って来る気配はない。
庭に咲いていた梅の花が時折、吹く風に連れられて儚く散ってゆく。
──トゥルルルル……。
電話?
携帯というものが普及してから『家電』の存在は薄くなってしまったが、たまには鳴ることもある。
「はい。もしもし、波柴です」
「波柴さんのお宅でしょうか?」
「そうですけど……どちら様ですか?」
「私は……」
『それでは夜のニュースをお伝え致します』
気がつくとつけっぱなしだったテレビはニュースに変わっていた。
『今日はまず先ほど入ってきたニュースからです。本日、十九時五十分頃、東京都世田谷区の環状線で乗用車と誤って反対車線に入ってきた大型トラックが正面衝突しました。この事故で乗用車に乗っていた波柴晶紀(はしばあきのり)さん[四十五歳]と妻の千絵(ちえ)さん[四十四歳]は搬送先の病院で死亡が確認され、トラックに乗っていた梅澤慎吾(うめざわしんご)さん[四十歳]も意識不明の重体となっております』
「成田総合病院……はい、分かりました」
ガチャン……ツーツー……。
俺は受話器を握ったまま呆然としていた。
頭の中真っ白になって……。
その後のことがよく思い出せない。
――ガチャ……。
玄関の方がなんだか騒がしい。
「千晶っ!千晶っ!!」
「……薫」
気がつくと薫と薫の両親が居て、
「早く!!何やってるの!!病院行くわよ!!」
「……」
気がつくと病院の病室の前に居た……。
──コチコチ……コチ。
時計の秒針がヤケに響いて、いつもより大きく聞こえる。
おもむろにに外のガレージを見るが、まだ車が入って来る気配はない。
庭に咲いていた梅の花が時折、吹く風に連れられて儚く散ってゆく。
──トゥルルルル……。
電話?
携帯というものが普及してから『家電』の存在は薄くなってしまったが、たまには鳴ることもある。
「はい。もしもし、波柴です」
「波柴さんのお宅でしょうか?」
「そうですけど……どちら様ですか?」
「私は……」
『それでは夜のニュースをお伝え致します』
気がつくとつけっぱなしだったテレビはニュースに変わっていた。
『今日はまず先ほど入ってきたニュースからです。本日、十九時五十分頃、東京都世田谷区の環状線で乗用車と誤って反対車線に入ってきた大型トラックが正面衝突しました。この事故で乗用車に乗っていた波柴晶紀(はしばあきのり)さん[四十五歳]と妻の千絵(ちえ)さん[四十四歳]は搬送先の病院で死亡が確認され、トラックに乗っていた梅澤慎吾(うめざわしんご)さん[四十歳]も意識不明の重体となっております』
「成田総合病院……はい、分かりました」
ガチャン……ツーツー……。
俺は受話器を握ったまま呆然としていた。
頭の中真っ白になって……。
その後のことがよく思い出せない。
――ガチャ……。
玄関の方がなんだか騒がしい。
「千晶っ!千晶っ!!」
「……薫」
気がつくと薫と薫の両親が居て、
「早く!!何やってるの!!病院行くわよ!!」
「……」
気がつくと病院の病室の前に居た……。