気まぐれお嬢様にご用心☆
エピローグ ─それぞれの春─
『千晶』って名前はお袋の『千絵』と親父の『晶紀』の文字からそれぞれ取っているんだって。
実は、それを知ったのはばあちゃんが死ぬ間際だった。
それまで自分の名前が、どんな風に付けられたかなんて考えたこともなかったけど……。
ドラマとかを見ていると、身内の死に目に遭えることだけでも幸せだと常々感じている。
俺は両親の死に目に遭えなかったから。
まさか交通事故であの世に行っちまうなんてな、運が悪いとしか言いようがねぇ。
だからって言うわけでもないけど、俺にはお袋や親父の分まで長く生きなきゃいけない使命がある。
将来……か。
俺はこれから先、どうなっていくんだろう……。
「千晶!!珍しいわね、考え事?」
春の陽気に誘われて今日は翼と近くの河原へ散歩。
桜も少しずつ花びらが開き始め、薄ピンク色に色づいて見える。
「ほっとけ、俺だってな考えることくらいあるんだよ」
「へぇ~それはそれは。で、どんなこと考えていたの?」
「将来のこと。翼は高校卒業したらどうしたいんだ?」
「そんなの、真剣に考えたことなかったよ。大抵の人は普通に大学に進学してどっかの企業に就職して……みんなそうやって生きて行くんじゃない。だから『夢』に向かって頑張っている人が羨ましい」
『夢』か……。
実は、それを知ったのはばあちゃんが死ぬ間際だった。
それまで自分の名前が、どんな風に付けられたかなんて考えたこともなかったけど……。
ドラマとかを見ていると、身内の死に目に遭えることだけでも幸せだと常々感じている。
俺は両親の死に目に遭えなかったから。
まさか交通事故であの世に行っちまうなんてな、運が悪いとしか言いようがねぇ。
だからって言うわけでもないけど、俺にはお袋や親父の分まで長く生きなきゃいけない使命がある。
将来……か。
俺はこれから先、どうなっていくんだろう……。
「千晶!!珍しいわね、考え事?」
春の陽気に誘われて今日は翼と近くの河原へ散歩。
桜も少しずつ花びらが開き始め、薄ピンク色に色づいて見える。
「ほっとけ、俺だってな考えることくらいあるんだよ」
「へぇ~それはそれは。で、どんなこと考えていたの?」
「将来のこと。翼は高校卒業したらどうしたいんだ?」
「そんなの、真剣に考えたことなかったよ。大抵の人は普通に大学に進学してどっかの企業に就職して……みんなそうやって生きて行くんじゃない。だから『夢』に向かって頑張っている人が羨ましい」
『夢』か……。