気まぐれお嬢様にご用心☆
今日は一日でいろんな人に会ったなぁ。
そんな日もあって然り……か。

案の定、俺はあの後、成績のことで翔さんに怒られたわけだが。
でもそんなことでくよくよする俺ではない。
開き直っているわけではないのだが……。

過ぎたことをごちゃごちゃ言っても始まらねぇし――。
人生は前向きにポジティブにってな!

俺は屋敷の扉を思いっきり開けた。


「ただいま!!」

「お帰りなさいませ」
出迎えてくれたのは榊さんだった。

「千晶様宛に手紙が届いております」

「手紙?」

差出人は……『薫』だった。
ポジティブ人間の見本とも言える人物だ。


――千晶へ
はろ~!元気?
また夏休みあたりには日本に帰るからその時はよろしくね!!
あと、パパから聞いたんだけど、
千晶のお父さん使っていたカメラを私のおばちゃんが持ってるんだって。
いつか千晶に返そうって思ってたみたい。
私の家の隣がおばあちゃん家だから行ってみて!!
千晶も絶対才能あるよ……カメラの。
お父さんと同じ道、進んでみてもいいんじゃない?
どうせ千晶のことだから、将来やりたいことも特にないんでしょ。

じゃあね~また会える日まで。   薫――


ったく……大きなお世話だっての!
薫のやつ……全然変わってねぇな。
フランスに行って少しは変わったとは思ったんだけどな。


――写真か……。
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