婆ちゃんの恋物語
「きみが、来ました言うて来てくれへん。」

「ええで、」

何分待ったかなあ。お坊さんが、男の子と一緒出て来はった。

「どうぞお入り下さい。」

阿弥陀仏の鎮座する、本堂に案内されて、身がキュッと引き締まるなんか空気を感じながら、まずは、お参りさせて貰って手を合わせ終わると、

「昭雄の事ですが、ああ、すいません、私はここの住職の昭栄で、昭一郎と昭雄の叔父です。
わざわざ、北浜から歩いて、こちらから、連絡しなあかんかったんですが、えらい嘘を、妹についてしもて。
昭雄は、きみさんのとこへ通って、家を建てなおしてるんや言うて、この半月ごまかしてますんや。
昭雄が、大阪砲兵工場に終戦1日前の14日、免責が、7月末日より無効になって、学徒動員で出向いておりましてん、あの空襲に遭ってしもたんですわ。
今橋も、北浜も、空爆で、大変でしたなあ。
お宅には、一度行きましてん。でも、なんか、入りにくうて、すんません。」

「昭雄さん、どないなったんですか?。」
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