【短】君の瞳に…『ホタルの住む森 番外編』
寝室に飛び込んだ晃が見つけたのは、ベッドサイドのテーブルに置かれた一通の手紙だった。
いつも冷静な晃が動揺し、震える手でそれを取る。
暫く考えた後、ようやく気持ちを切り替えたように封を切った。
―晃さんへ―
亜里沙が行方不明になりました。
捜しに出かけてきます。
2~3日留守にするかもしれませんが、心配しないで下さいね。
時間がないので直接説明できなくてごめんなさい。
晃さんが余りに忙しそうで、今朝も話す時間が無かったので、申し訳ないけれど帰ってきてからきちんと説明します。
あ、一応暁クンには簡単に説明をしてあります。
では、行ってきます。
陽歌
手紙を読んだ晃は脱力してそのままベッドに倒れこんだ。
…そう言えば今朝、確かに陽歌は何か僕に言いかけていたっけ。
それなのに、僕は帰ってから聞くよと軽く受け流してしまったんだ。
そっか…亜里沙さんが行方不明だったら、陽歌が飛んでいく訳も納得できるよな。
ホッとした途端先ほどの暁の言葉を思い出してフツフツと怒りが込み上げてきた。
誰が誰に嫌気がさして出ていったって?
言って良い事と悪い事があるだろうが。