僕らに降る雨
プロローグ
雨の日は、
黄色い小さな傘を探してしまう。
使い古した深緑のリュックサックを背負い、その小さな手で傘が風に飛ばされないよう、しっかりと両手で握った彼女。
傘をあげると、たくさんの涙を流し、必死に歯を食いしばった幼顔の君。
―僕らに降る雨―
「私と陸は似てるよね。」
君はよく、そう言っていたね。
俺は、君と似ているなんて思ったことがなかったから、全然違うよ!って、冗談交じりに笑う君に必死に言っていた。
古びれた公園には、二つのブランコだけがまだ残っていた。
誰かが高さを上げて、そのまま放って帰ってしまったのか、片方のブランコは元の形を変えイスが斜めになったまま月日が立ち、雨にうたれたチェーンは錆びれ元に戻らなくなっていた。
初めてこの場所に訪れた時から、君はイスが斜めになった方を好んでいたね。
イスに座れば、俺より小さい君は大きくなったように、俺は視線を見上げないとだめだった。
そして君は、ニコニコと微笑みながら視線を下げ俺を見て喋っていた。