僕らに降る雨
俺はごく普通の高校生。かっこいいわけでもなけでば、ダサダサなヤツってわけでもない。友達もそれなりに居るし、放課後が暇っていうわけでもない。
絵は自分で言うのも悪いけど、普通よりは上の方だ。
祖父が絵を描くのが好きだった。だから小さい頃からよく祖父に連れられてスケッチに出かけた。小さい頃はソレがいったい何なのかわからない絵ばかりを描いていたけど、そんな絵に気づいた時、もっと上手く書きたいと思い絵の勉強をした。中学では
美術部に入りそれなりに賞を貰ったりしていた。
俺の中ではそれで十分だった。絵描きになりたいわけでもないし、誰かに認められたならそれ以上を目指そうとも思わなかった。
だから高校入学したときは部活にも入らないでいた。
1年の3学期頃から村上先生から勧誘され始め、気がつくと先生に惚れていた。自分より上手い絵を描くのも羨ましく思ったし、そんな人に美術部に入らないか?と誘われるとやってみたいとも思った。
でも実際入部してからの俺の活動は先生と喋るだけ。絵は一切書かず
"書きたい時が来るのを待つ"
それが俺の部活内容になっていた。
先生は呆れていたけど、俺は中学で全てを消費したし何を目指して書けばいいのかもわからなかった。
無心で書いた絵は誰にも何も伝えてはくれない。だから、書きたいときに書けばいいと思ってる。
入部の一番の理由が先生に惚れたのは俺だけの秘密だけど。
「如月くん…来年受験でしょ?美大とか受ける気とかあるの?」
黒板が消し終わると白くなった手を水道で洗い俺の方を見た。俺は先の話をされると決まって目を逸らす。
「美大なんて行って…何になんの?」