僕らに降る雨

3年になって俺はいつの間にか部長になっていた。
部長なんて他のヤツがすればいいと思って先生に言ったけど返事は簡単だった。

「仕方ないでしょ?3年で美術部なの如月くんだけなんだから」

 俺が入部したときには3人くらいは同学年がいたはず…。でもいつの間にか辞めていた。先生が言うには、趣味でしかないから2年いっぱいで辞めてみんな受験に集中するんだって…。
 もともと美術に強い学校でもなかった。俺が入学したときだって美術部があることすら知らなかったくらい…。
 2年で引退。それが普通で、でも俺は何も言わなかったから部長にされてしまった。

「2年の子らにやらせたらいいじゃん。俺、美術部だけど美術部らしいことしてないよ?」

「いいじゃない、部長なんて名ばっかりなんだから!」

「だったら尚更!2年の子がすればいいじゃんか!なりたいヤツいるかもしんないし…」

「いいの、あたしが決めたんだから!部長は如月くん。」

授業の片付けをしながら簡単にあしらう先生。俺はそのままため息をこぼし近くの席につき部活届けの用紙に記入を始めた。

 先生からの呼び出しだからちょっと期待してたのに、まさかこんなことになるなんて…。


「…ねー、如月くん?」

「なに?うあ!間違えた…消しゴム貸して!」

書きながら話を聞こうとするとどっちかが疎かになってしまう。なかなか俺は不器用だったりする。

先生から消しゴムを借りて消していると、いつもより慎重な声で俺へと語りかけた。


「コンクール受けない?」


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