僕らに降る雨
「…受けないよ。」
俺の返事はいつだって変わらない。絵は書かないんだから…
「受けてほしいの。お願い如月くん…先生ね、どうしてもこのコンクールに如月くんに出てほしい!如月くんに絵を描いてほしいの。」
いつもと違う先生。目が真剣で必死に俺に訴えかけている。
「…なんで?俺が部長になったから?」
「違うわ…」
「じゃあ、何?俺はまだ書きたい時来てないから書けないよ!」
「今がその時だから」
「は?」
先生は俺にコンクールのプリントを俺に差し出した。それに目を通すと、よくあるコンクールと特に変わらない。
何がその時なんだよ…
「如月くんが書きたい時はいつかはわからない…でも、今は書くときだと思う。高校生活でたった一枚の作品を残すチャンスよ?
先生ね、正直、如月くんの考えてることや思っていることよくわからないままよ。でも、ほら見て?このコンクールのテーマ…」
『気持ちを絵に』
先生の指さした所に書かれた今年のテーマ…
「気持ちって…」
「気持ちって言ってもいろいろあるよね。好きとかの感情だとかいろいろ…。でもね、私が見たいのは如月くんが想う絵に対する気持ち。」
「絵に…?」
「絵は表現の問題だっていつか言っていたでしょ?如月くんの気持ちを表現してほしいの」