摂食障害~ダイエットに潜む小さな罠~



その薬を飲んでおけば、効き目が切れるまで食欲が湧くことは無くて



リュウジと一緒に摂る夕飯以外の時間を私は薬でやり過ごした。



染みになるくらいに溢れる汗と、食べたくない事が嬉しくて、食欲に翻弄されていた長かった昼の時間がもう辛くない。



幸せだった。



夜の一食ぐらい好きに食べたって、そんなに体重が変わる事は無い。



仕事仲間からも細いと言われ、また自分を少し好きになる。



ところが、そんな時間は長く続かない。



悪魔は私から、少しずつ、色々なものを奪い始めたのだ。



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