摂食障害~ダイエットに潜む小さな罠~



2時間もかけて嘔吐した後の体は。どうしようもなくだるくて、もはや何も出来ない状態になってしまう。



そんな事にすら、気付かないでいた。



大量の特売品を抱える自分の姿だって、直視していなかった。



それは……元気だから。



日中はガンガン歩ける。



細い体を見せつけるように、外出する事は楽しい事だった。



周りは自分なんて見ていない筈なのに、全ての人間が自分の体に賞賛を贈っているような……そんな錯覚。



けれど、本当に問題なのはそんな事じゃなかった。



摂食障害という病気は、毎日たまらず繰り返してしまうように依存性がある事。



そして……あるモノが欠けた人間が発症するという事。



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