Street Love【BL】
しばらくすると、湯気をたたせたマグカップをふたつ、蓮が運んでくれた。その片方を目の前に差し出された。
両手で包み込むように受け取り、一口含む。
コーヒーの甘さに心が安らぐ。
「落ちついた?」
蓮が隣に腰掛け、様子をうかがってくる。
「うん…」
俯くと、大きな手に、優しく頭を撫でられた。
「話せるか?」
こくりとうなずく。
「あのね、俺、蓮に嘘ついた」
「嘘?」
蓮は眉をよせ、顔を歪める。一瞬ホントのことを言うのをためらったけど、無意識に、蓮にはもっと自分のことを知って欲しいと思う欲が湧いた。
「うん。初めて家に来た時、親は海外赴任なんてしとないの、海外にいるのはホントなんだけど……
でも、十何年も会ってないの」