私が天使だったころ
次の日は朝からバイトだった。
スーパーでは新しいステーキの試食が配られている。

その目の前を通った時、急に臭いが鼻にしみついた。
次の瞬間、猛烈な吐き気に襲われて思わずトイレに駆け込んだ。

(昨日あんな事があって眠れなかったから体調を崩したかな…)

バイトが終わって家に帰ると、ソファーでは克也がテレビをつけたまま眠っていた。

「んもー克也も風邪ひいちゃうよ?」

布団から掛け布団をとろうとベットへ向かう。

『お母さん私…妊娠したの』

テレビドラマのセリフを聞いた瞬間、体が凍り付いた。

(まさか…私…)

カレンダーをみると、もう1ヶ月以上生理がきていない。

(妊娠…?)

確かに最近体がだるかった。
今日の吐き気はつわりかもしれない…。

私は思わず克也を見た。

昨日克也とはしていない。克也とエッチをしたのは、もう何ヶ月も前だ。
その後は生理はちゃんときていたし、ちゃんと避妊もしていた。

目の前が真っ暗になる。

(…あの時の…?)

お腹に手をあてて座り込んだ。

(私…妊娠したの…?)
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