イケメン☆パーティー

あたしと舜が会社のビルに戻り、自分たちのデスクに戻ろうとしたとき、水野さんとすれ違った。

前を歩く舜にならって、あたしも軽く会釈した。

でも、やはり、視線は合わさないように。

水野さんを見かけると、相変わらず胸が高鳴る。

でも、諦めるって決めたんだから。

あたしは自分に言い聞かせ、水野さんの残像を頭から消去するよう努めた。


「さあ、仕事、仕事!」

口の中でつぶやいたつもりだけど、舜には聞こえたらしい。

「ずいぶんやる気満々じゃん。
でも、今日もそんなにやることないぜ」

うっ、そうだった。

「え?いや、ファイルの整理しなくちゃ」

あたしはさも忙しそうにキャビネットを開け、ファイルをどっさり自分のデスクに積み上げた。

そんなあたしをいぶかしげに見る舜の視線がやけに痛かった。


< 233 / 381 >

この作品をシェア

pagetop