イケメン☆パーティー

レストランを出て次の店に向かって歩いているとき、水野さんがスッとあたしの隣に来て小声で話しかけてきた。

「かりんちゃん、今日、美沙子さんや舜君も一緒でごめんな?」

「えっ、そんな。
皆さんに祝っていただいて嬉しいですよ」


あたしは、最初に美沙子さんと一緒に立っている水野さんを見てがっかりしたことを思い出し、見透かされていたのかとヒヤリとした。

「あのさ、前に約束したときのこと、覚えてる?
新人賞取れたらお祝いするって約束したときのこと」

あたしは、大前さんや本郷部長と飲みに行った帰りのタクシーでのことを思い出した。

「はい。タクシーであたしがおねだりしたんです」

「うん、あの時、お祝いは僕一人でやるつもりだったんだけど、実は今日、もともと美沙子さんに披露宴の招待状を渡したいからって呼び出されてたんだ。
例のこと以来、ずっと美沙子さんのこと避けてたんだけど、今日はどうしても断れなくて、でも二人きりで会うのはちょっと気が引けててさ。
そしたらかりんちゃんからメールが入ったから、ついそのお祝いを理由にして舜君も付き合わせてみんなで、ってことにしちゃったんだ。
ごめんな」

「そうだったんですか……」

そっか。

だから、今夜最初に会った時、水野さん、美沙子さんの様子を窺ってたんだ。


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