イケメン☆パーティー

ホテルの会場に着くと、受付に意外な人物を見つけた。

「田所さん!」

あたしが声を掛けると、田所さんは顔を上げ、嫌そうな顔をした。

「ああ、あなた。
最優秀新人賞おめでとう」

棒読みでお祝いを言われ、あたしは苦笑いした。

「ありがとうございます。
でも、どうして田所さんがここに?」

「異動になったのよ。
『みゅーず』で働くことになったから、これからよろしく」

ちっとも「よろしく」という感じではない表情で言われ、あたしは「はあ」とあいまいな返事をした。

そんなあたしに構わず、田所さんはてきぱきと自分の仕事を進めた。

「受付するから、招待状見せて。
あなたは顔見知りだけど、一応決まりだから」

田所さんに促されてあたしは招待状を見せ、OKをもらって会場に足を踏み入れた。


会場の中では、受賞の連絡をもらってからずっとお世話になっている編集部の斉藤さんが待ってくれていた。

あたしをはじめ、今回賞をもらったのは、8名。

最優秀新人賞のあたしは最後に表彰されるらしい。

指示に従って、待機場所に移動した。


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