イケメン☆パーティー
舞台袖でブラックスーツ姿の智裕が大きな花束を抱えて立っていた。
なんで?
美沙子さんの披露宴は?
すると司会者の声が耳に入った。
「次に花束贈呈です。
桜井かりんさんのご友人の水野智裕様がお祝いに駆けつけてくださいました。
どうぞ、お願いいたします」
ええっ、聞いてないよ!
あたしは智裕の顔から目を離せずに、立ち尽くした。
智裕は悠々と舞台中央へ歩いてきて、あたしに大きな花束を差し出した。
あたしはわけもわからず、とりあえず花束を受け取った。
会場からまた盛大な拍手を送られて、あたしは再び正面を見て頭を下げ、やっと舞台から降りることができた。
舞台から離れると、あたしは智裕を会場の隅に引っぱって行って、詰め寄った。
「披露宴はどうしたの?」
智裕は涼しい顔で答えた。
「抜け出してきた」
「ええっ!?そんなことしたら、まずいんじゃ……」
「いいんだ、もともとあまり行きたくなかったし、新郎新婦見ているうちに他人を祝ってる場合じゃないって気づいたからさ。
かりんの晴れ舞台に俺が行かなくてどうするってね」
智裕はそう言うと、にっこり微笑んだ。