イケメン☆パーティー

そう思っていたら、田所さんがそばを通りかかった。

智裕が田所さんに気づいて声をかけた。

「先ほどはどうも。
このあとはどうなっているんでしょうか?」

田所さんは智裕を見ると、にこやかに答えた。

「ああ、先ほどの……
もう授賞式は済みましたから、あとはご自由にご歓談ください。
ビュッフェ形式になっておりますので、お食事もお飲み物もご自由にどうぞ」


うわ、田所さんのこんな好感度の高い笑顔、初めて見たかも。


「解散も各自自由に、ということですか?」

「はい。
ただ桜井さんはお帰りの前に、少し今後の打ち合わせがありますが……」

田所さんがあたしを見てそう言うと、智裕は田所さんに礼を述べ、田所さんは受付に戻っていった。


田所さん、外面はいいんだ……

っていうか、高飛車なのはあたしにだけ?

あたしがあっけに取られて田所さんを見送っていると、智裕が話しかけてきた。

「じゃあ、俺はロビーで待ってるよ。
終わったら送っていくから来て」

そう言って智裕は会場を出て行った。


あたしは智裕を見送ると、憧れのマンガ家先生に声をかけてサインをもらったり、少しお喋りしたりした。

その後、担当の斉藤さんと今後の予定を打ち合わせた。

そうこうするうちにだいぶ人が減ってきたので、斉藤さんに挨拶してあたしも会場をあとにした。


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