イケメン☆パーティー
水野さんはあたしの腕をつかんだまま、ホテルの車寄せに向かって歩き出した。
「あの、水野さん?
あたし、もう帰らないと終電が……」
「送るよ」
水野さんはそう言うと、ホテル前に待機していたタクシーにあたしを押し込んだ。
「ええっ!?」
慌てるあたしに構わず水野さんも一緒にタクシーに乗り込み、尋ねてきた。
「家、どこだっけ?」
運転手さんにも行き先を問う表情で見られ、あたしは観念して自宅の場所を伝えた。
タクシーが走り始めると、沈黙が居心地悪くて、あたしは口を開いた。
「水野さん、強いんですね。
何か格闘技でもやってらしたんですか?」
水野さんはあたしの方を見て微笑んだ。
「いや、特に何も。
相手が、酔っ払いの中年だったからね。
あれがケンカ慣れした若い奴だったら敵わなかったよ」