あの音が聞きたくて
しばらくの間、三人は黙り込んだ。

声を出そうにも出せなかった。

健治はうつむき、麻衣はため息をつくばかり、

良子はそんな二人をじっと見ていた。

「とりあえずは、明日の検査の結果をまちましょう。」

麻衣が始めに口を開いた。

最悪、リオンの耳が聞こえなくなるという
状況も覚悟して、

明日、病院に連れていこう。

そして、そこからは医者の指示に従い、

病気のことについて、自分でも
調べていき、周りの方の意見も聞いていき、

リオンの人生をサポートしょうと。

そう心に決めた。

「ご飯の準備できてないから
これからするね。」

と麻衣が言うと、

「そう思って、お弁当買ってあるよ。
リオンが起きたらみんなで食べましょ」

と、良子が冷蔵庫の中から
お弁当を取り出した。
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