あの音が聞きたくて
詳しく調べてみると
補聴器の調子がおかしかったようだ。

麻衣は少し安心した。

たが、逆に補聴器なしでは
リオンはもうほとんど
音が聞こえなくなっていることも
分かった。

補聴器を付けた状態でも
何か音がしていることを
知らせてくれる程度であることも。

安心した途端にまた深い不安が
彼女を包み込んだ。

「ダーダー」
隣ではいつものように、
リオンが甘えてくる。

もう一ヶ月以上の間、彼から
はっきりした言葉を聞いてないな。

麻衣はそう思った。
< 65 / 133 >

この作品をシェア

pagetop