限りある世界で、僕たちが出来ること。
1.外へ。
キィーーーン――……。
キーの高い音が、室内に居ても微かに聞こえる。だけど、ごみごみした人たちの話し声のほうが、何倍にも五月蝿くてたまらない。
と、いうことで。
俺らは空港に来ています。訪れています。来させられています。
「俺、飛行機って初めてなんだけど……」
「ふ~ん。……っていうか、まだ乗ってないじゃないか」
搭乗口付近のホール。綺麗に陳列されているベンチ。
その一番真ん中。縦から見ても、横から見ても、本当にど真ん中。に俺たちは座っている。
なんで、こんなにも中央なのかって?それはね……。ここしか空いてなかったからだよ。三人分の座席がね。
そう……俺と智也の外に、もう一人居る。
それは……。
「…あっ、高橋さん。なにしてんすか。それ、俺とミーマネのポテチっすよ。勝手に食わないでください」
「…んだよ。別にいいじゃねぇか。ポテチくらい。智也くんて、以外とケチなんだな」
もう一人というのは、あのプロ野球選手、高橋直晃さん。
「高橋さん。もう一回手を出してでもみてください。次はその指、折ってあげますよ」
智也の目が光り、口の端が歪む。相当怒っているようだ。口調もさながら厳しくなっているように思う。