プリンセス*Magic



ぼやけた視界の中で、蒼維が微笑んでいるように見える。



…やっぱりあたし、変わりたい。

香川先輩に想いを告げられるようになりたい。



あたしはぼやけた蒼維を見ながら、そっと口を開いた。




「…あたし頑張る。自分を変えて、綺麗になって、香川先輩に告白する!」




あたしの言葉が響くと、突然耳元にくすぐったい感触が襲って来た。

驚いたあたしは急いで目を瞑る。




「そうでなきゃ、詩音は!」




蒼維の声が耳元で響く。

あたしが目を開けると、さっき取られたあたしの眼鏡が元の位置に戻っていた。


久しぶりにしっかりと見える景色に、あたしは少しだけ戸惑いを受ける。




「という訳で、仕事終わったら早速行動よ!」



「え…今日からなの?」



「当たり前じゃない!」と自信を漲らせている蒼維を見て溜め息をついたのは、本人には秘密にしておこう…。




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