プリンセス*Magic
「ではこちらへどうぞ」
「行ってらっしゃーい、詩音チャン」
蒼維の憎めない笑顔に見送られながら、あたしは美容師にされるがままになっていた。
あんなに頑張って伸ばした自慢のロングヘアーが、バッサリと切られていく。
見事に床へと落ちていく髪の毛を見たあたしは気絶寸前。
…さよなら、あたしの髪の毛。
「お待たせ致しました」
「へ…?」
美容師の声によって、あたしは現実へと引き戻された。
どうやら、あたしはショックから気を失っていたらしい。
ふぅ…と息を吐きながら、目の前にある鏡を見た。
「…これ、あたし?」
「勿論ですよ。お客様、物凄くいい素質を持ってらっしゃいますから」
美容師はあたしの驚く顔を見て、ニコっと笑った。
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