俺様王子の秘めゴト
「華南は自らこのバッチを外したんだよ。」




意味が分からない。



なんで華南がこのバッチを外す必要があるんだよ。



顔を歪ませる俺に、三郷が呟く。


「玖城、お前…華南の何を見てきた?」




そしてそのまま三郷は生徒会から出ていった。



華南が辞めた理由も告げずに。



そのあと清里にも聞いてみたが清里も同様な態度で全く口を開こうとせず、日に日に苛立ちが増していくだけだった。




こうなったらと、本人に聞こうと思って探すも全く見つからず。




俺から避けているということに直ぐに気づく。


「なんでだよっ…」



それが更に苛立ちを増した。




頭を抱え机を叩く。




王子の仮面なんてとっくに剥がれてて、周りなんか気にしてられないくらい俺は苛々していた。



そんな時。


日に日に荒れていく俺を見かね、華南が俺の前からいなくなってから2週間たった昼休み。




圭がある提案をした。




「啓志、華南ちゃんのクラス、行こっか?」



は?


最初はなにいってんだコイツとか思った。



「俺が行っていねーのに圭が行っているわけねーだろ。」



馬鹿じゃねーのか?




「違うよ啓志、啓志は今まで放課後行ってたから悪いんだよ。今行こ!昼休み!!」



その言葉にハッとする。




そうか…、言われてみればそうだ。



俺はいつも放課後になってから華南を探しに行っていた。



だからきっと華南も俺が放課後来ると読んでいたに違いない。


だから逃げることが出来た。


だったら…!!


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