俺様王子の秘めゴト
そう思ったら体が直ぐに動いた。



「げんきんだね啓志は。」


苦笑する圭なんか気にも止めず教室を出る。



向かうは2年の教室階。



なんだってうちの学校は学年事にフロアが違うんだよ。



階段を降りるのすらもどかしく、一段飛ばしてかけ降りる。



「啓志、落ち着こうよ!」



後ろから追いかけてくる圭が言う。



落ち着けだと?



落ち着いていられる訳がない。




華南に会えるって言うのに。



「啓志!!」



その圭の声と共に、俺の前に清里と三郷が現れた。



「っ…。」



あっぶねぇ。



もう少しでぶつかる所だった。



「啓志、先走った行動は自分を落胆させるだけだよ。」



そう言われても、どうしようも出来ない自分がいる。


頭では分かってるよそんなこと位。



「冷静に、俺達に任せてよ。」



そんな俺を理解しているのか、圭が笑って俺の肩を叩いた。



「…あぁ、悪い。」



それで少し冷静になる。



「よし、そうと決まれば行こっか、清里さんも桂馬も着いてきて。」




そうして四人で華南の教室に向かうことになった。




しかし。



教室に行ったはいいが肝心の華南はいなく



「さっきまでそこにいたんですけど…。千堂さん!姫谷さんは?」




完璧に逃げられた後だった。



「…さぁ?」



聞かれたその子も何処行ったか分からないらしく首を傾ける。



「華南ちゃんの方が一枚上手というわけか…。」



ぼそりと圭が呟いた。



冗談じゃない。



そんなんで諦められるかよ!!!
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