俺様王子の秘めゴト
直ぐ様探そうと踵を返す俺だが、三郷に肩を掴まれた。



「なんだよ。」



今、お前に構ってる余裕なんて無いんだけど。



「ケイゴが見付けたって。」


…は?



睨む俺に三郷はそう言って携帯を見せてきた。



そこには送り主が元町 敬吾になっていて、本文はたった一言。


『数学準備室』



と書かれていた。



「なっ…。」

「伏線、張っといて良かったな。」



携帯を閉じて三郷が言う。


「華南は俺達四人を警戒してる、特に玖城、お前を。だったらそれ以外の奴に探させればいい。」



俺達四人以外の誰か。



華南が特に警戒を置くことをしていない人物。



それは一人しか思い付かなかった。



それが元町 敬吾。



生徒会会計。



書記もいるが書記をやっている奴は2年で、俺の補佐をしているからと華南を毛嫌いして近寄らなかったから役には立たない。



つまり、今のこの状況下では元町が適任だった。



「三郷、サンキュ。」



三郷の肩を叩き、耳元で礼を言う。



「華南の本音が聞きたきゃケイゴに陽動させるんだな。お前が出てってもまた逃げられるだけぞ。」


そんなことは分かってる。


その言葉には軽く頷くと俺は急いで向かった。



校舎最端、数学準備室に。

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