俺様王子の秘めゴト
「元町!!」


「五月蝿い玖城。」



数学準備室より少し手前。


そこで元町は待っていた。


「華南は?」

「まだ中、焦るなよ五月蝿いなぁ。」



焦るなとか言われても、これが焦らずにはいられない。



「お前、分かってるな。」

「はいはい。さっき桂馬からメールが有りました。」


めんどくさそうに話す元町に多少苛立ちを感じながらも、元町がいなければ華南に会うことが出来ないのでぐっと我慢する。


「あ、出てきた。」



その時だった。



数学準備室から華南が出てきたのは。



「かっ…。」



久しぶりに見る華南。



それが嬉しくてつい声を掛けようとしてしまった途端、目の前に映った光景に驚き、声が出なくなった。



また、元町に押さえつけられて出せなくなった。



俺の目に映ったもの。



仲睦まじく、数学教諭の新庄と腕を組んでいる華南だった。



そしてそのまま二人は俺達に気づかず前を通過していく。



嘘だろ…。



なんで新庄と華南が腕組んでんだよ。



「あちゃぁ~、どうするよ玖城。」



どうするとか聞かれても。


「はっきりさせる。」



そうとしか答えられない。


新庄と華南がどういう関係なのか。



なんで俺の補佐を辞めたのか。



2つ纏めて聞き出してやる!!!



「頼んだぞ元町。」


「人頼み?!」


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