ズルい君
好きになった理由…
…なんだろ?
もう分からない。
あたしのトナリで
まわりに囲まれて
楽しそうに笑う『あいつ』を見てて、
気付いたら
ドキドキしてた。
でもあたしは
『あいつ』に群がる
一人にはなれなかった。
可愛くもないし、
話しかける勇気すら
無かったから。
トナリの席なのに、
話せたこともない。
名前で呼んだことなんて無いから、
『あいつ』なんだ。
あたしはただ、
告白の返事へと向かう
『あいつ』の背中を
眺めるだけだった―……