人間ペットショップ
「こちらが当店の契約書です。目を通していただいた後、最後に署名していただけますか?」
「はい…」

紙を受けとった後、さちは、真剣に読み始めた。

その紙には次の事が書いてあった。



1.お客様はペットを大事に扱うこと

2.ペットの行為についてはお客様が全責任を負うこと

3.上記の事を破った場合、お客様がご自分で責任を取ること


さちはそれを読んだ後、顔を上げた。

「あの…これを守ればいいんですか?」「ええ。そうして頂ければ、代金は必要ありません。言わばそれを守ることが代金なのです。」

その言葉を聞き、彼女は少し安心した、もっと無茶苦茶な契約を押し付けられるのかと思っていたからだ。

…1も2も、ペットを飼う以上最低限の事よね…問題は3の、責任、って言葉だけど………賠償金とかかな?まぁ、要は1と2をしっかり守ればいいのよ。それにお金も必要ないんだから、はっきり言って、良い契約よ。

「よろしいですかお客様?」
「あ、…はいっ!」
店員に言われて、彼女は慌てて右下にある空欄に署名した。
「では少々お待ち下さい。あのコに服を着せてきますので…。あ、そうそう、私は、芝樹と申します。以後お見知り置きを…」

そう言って芝樹は出ていった。残されたさちは、

あ、そういえば名前…聞いてなかったな
なんてのんきに足をブラブラしながら考えていた。
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