人間ペットショップ
「あ~~着いた着いたっと!」


さちはマンションに着くと、そう言い放ち、廊下をドタドタと歩いていった。


もう10時か~。晩御飯どうしよっかな。

リビングで時刻を確認し、そんなことを考えていると、あることに気づき、手を廊下の方へ出し、クイクイッと振った。


すると、玄関から靴を脱ぐ音と廊下をソロソロと歩く音が聞こえ、リビングに「彼」が現れた。


「う~ん、ねぇ、おなか減ってたりする?え~と…」


あ、名前決めてなかったな~。どうしよっかな~。


そんな主の事など気にしていないのか、「彼」は部屋を見回した。


部屋はそこそこに片づいていたが、昨日のやけ酒の残骸があちこちに転がっていた。



「よしっ!決めた!君は、タケシだ!」「タ……ケシ」
「!」


しゃべった!あ、当たり前か…


「うん、君はタケシね。じゃあ…タケシ、お腹減ってる?」

「お腹…すいた。」



「そっか~…じゃ、カップラーメンでもいい?」


テーブルに乗っていた缶ビールが、転がって床に落ちた。
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