人間ペットショップ
…ズルズル…ズルズル。

二人の麺をすする音が部屋に響く。


「…ズズ。ハァァ~。」


さちは、スープを飲み干し、一息ついた。それからテーブルを挟んで、目の前にいるタケシを見た。


彼は普通にカップラーメンを食べていた。それが、彼女には不思議だったが、同時にホッとした。


そりゃ~、人だもんね。話したり、食べたりするのは当然よね。でも…


彼女の頭の中に、あの店の風景とそこにいた「ペット」たちが浮かんだ。


あの異様な光景が、彼女にタケシの行動を信じさせなかった。


まぁ、考えても仕方ないわね。
それより……



「ねぇ…タケシ?」「…ん?…あっ!……は、はい。」


彼は普通に反応したのだが、すぐに主人に対する反応に変えた。そして、顔を伏せた。


「あははっ!いいの、いいの。普通で。ご主人様みたいに扱われたら…背中痒くなっちゃうもん。」
それを聞き、彼は最初は戸惑っていたが、


「……わかった。」

とだけ、絞り出した。さちは、それに大満足といった感じで椅子にもたれた。



それから少しの間を置いて、彼女はテーブルに肘をつき語り始めた。
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