人間ペットショップ
「……だめだ。」
「え?」


白髪混じりの頭を掻きながら、眉間にしわを寄せて、不快そうな声を出した中年の男。
忠正、さちの父親だ。


「だめだ、と言ったんだ。」
「な、なんで?」

客間に通され、そこで待っていた父に会って、数分も経たずに否定されたさちは驚いた。


「若すぎる。その歳で家庭を支えていけるはずがないだろう…そんな男との結婚を許すわけにはいかない。」
「そ、そんな…」
「それだけだ、帰りなさい。」


彼女の父はとりつく島もないといった感じで部屋を出ていった。


「お、お母さん!」「う~ん、ごめんなさい、私もちょっと賛成できないわ。」

…そ、そんな……


さちは助けを母親に求めたが、それが叶わず、愕然とした。


さちは落胆して、家を出た。その後ろをタケシが続いた。
また、頭の後ろで腕組みをしていた。


そんなのんきな彼を見て、彼女は苛立ちを覚えた。



「あんたが…もうちょっとしっかりしてれば…」
「おいおい、オレのせいかよ。」


タケシはびっくりし、腕組みをほどいて彼女を見た。


そのおどけた感じが、彼女を更に苛立たせた。
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