人間ペットショップ
芝樹さんに会って、文句言ってやる。

さちは、鼻息を荒くしながら、角を曲がった。



「あれ?、なんで…?」


彼女の目の前にあの店はなかった。

…うそ、なんでよ…

彼女は驚いてしまって、さっきまでの怒りも鎮まってしまった。


それから何度も彼女は角を往復したが、結局、店に入ることはできなかった。



彼女は落胆したが、部屋に戻ることにした。



あ~あ、嫌だなぁ…コウジに会うの……

そう深くため息を吐いた後、彼女は部屋に入った。


「……ただいま~」

彼女が抑揚なく言った。しかし、それに対するコウジの反応はなかった。



「…?…コウジ?」


彼女は、返事がないことを訝しく思うと、ソロソロとリビングに向かって歩いて行った。
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