人間ペットショップ
「なあ?……なんであんたには俺らが必要なんだ?」
「え?」


さちの部屋に入り、玄関で靴を脱ぎながら、彼がいきなり訊いたので、彼女は戸惑ってしまった。だが、すぐに我を取り戻して、


「両親がね、結婚結婚ってうるさいのよ。それで……ついに、お見合いさせるなんて言い出してさ…私は自由な恋愛をしてから結婚したいの…だから……」

と言った。

「……ふ~ん。」


さちの言葉を背に、タカユキは髪を掻きながらリビングに向かって歩いていた。

人が話してんだからちゃんと聞けよ……

さちが、彼に続いてリビングに入ると、彼は彼女の方を向いて言った。


「やばい…」
「なにが?」






「腹減った…」
「………」
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