人間ペットショップ
その時だった…今まで真剣だったタカユキの顔が歪む。



それも、悲しみではなく笑顔に変わったのだ。

「フ、フフフ、フフフフ………」

彼は顔を伏せ、肩を揺らしながら笑い始めた。



…な、なに、どうしたの……


さちが気持ち悪がっていると、突然彼の足下に、ガシャンッと何かが落ちた。




それは、黒い、金属の輪だった。しかし、それはちょうど半分の所で開いていた。

「ハッ！ハハハッ！アハハハハハハハッ！」

それを見た彼は、狂喜乱舞し、さらに声高々に笑った。


それを見たさちは、タカユキの変わりようが信じられないといった感じで、口を抑え、目を見開いていた。



「な、なに、どういうこと…？」

彼女がやっとのことでそう話すと、ずっと上を向いて笑っていたタカユキが、ゆっくりと顔を下ろし彼女を見た。


実際には止んだ笑い声が、さちの頭の中でこだました。
< 48 / 56 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop