人間ペットショップ
さちが見たのは、見たこともない部屋だった。


部屋の中は真っ暗で詳しくは分からなかったが、何となく部屋が狭いことは分かった。


彼女は壁に手を這わせて、壁伝いに歩いて行くが、上手く歩けずに角に頭をぶつけたりしていた。



「明かりが必要ですか？」


「え…？」


彼女が訊くと同時に部屋の明かりがついた。


声の主は芝樹だった。


芝樹はその部屋の扉の前に立っていた。

彼の脇の隙間から、さちが向こうの様子を伺うと、クリアケースが見えた。


どうやら、ここは、さちがタケシを選ぶことになったあの日、クリアケースのある部屋に通されたときに見た、あの扉の向こう側の部屋のようだ。


さちはクリアケースを見た後、自分の周りを見回した。


部屋の中には幾つもの棚があり、その上にいろんな物があった。食べ物、服、それによく分からない器具もあった。


彼女が周囲を見回していると、芝樹が話しかけた。
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表紙・目次

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