人間ペットショップ
「処分……?」

ま、まさか…

さちの頭にどす黒い不安が渦巻いていく。

「えぇ…お客様に迷惑をかけるような商品は回収し、…処分すべきでしょう?」


さちは、その時、コウジがいなくなった日の翌日、芝樹のエプロンが汚れていたことを思い出した。
それも赤黒く……

まさか…あの汚れは……


その時、さちはこの芝樹という男があの笑顔の裏で、この店の奥で、一体何をしていたのかを瞬時に理解した。


「ちょうどあなたのいる……その辺りですよ、処分したのは……」


芝樹がそう言うと、さちは、今、自分がどういった所に立っているのかを悟った。

そこは血痕の上だった。しかも、ちょっとやそっとではない、その血痕はここでおびただしい量の血が流れたことを語っていた。


「うう……」


さちは吐きそうになり口を手で覆った。

「おやおや、いきなり部屋を汚す気ですか……このコは久々に躾のしがいがありますねぇ…」

芝樹はそう言って、笑いながらゆっくり近づいてくる。



さちは後ろに下がるが、部屋が狭いため、すぐに背中が壁に当たった。


「イ、イヤ……」

ゆっくり、ゆっくり、芝樹は近づいてくる。







「イヤァァァッ!」


カチリと首輪が着けられる音が響いた。
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