運命のヒト
学校に向かう前に、健二の家に行った。


思った通り、健二はまだ寝ていた。

それもそのはず。


・・・今は朝の7時。

今までなら俺も爆睡中だった時間。


「おい!起きろって!!」

俺がそう怒鳴って、身体を揺らしても健二はびくともしない。


せっかく早く起きたのに、こいつが起きねぇんじゃ意味がない。


「起きろ!!」

そう言って怒鳴ると、やっと目を開いた。

「うわ?優士?何やねん??」

健二は俺の姿を見てかなりびびっていた。


「ちょ~、お前に話あるんや」

「何や?こんな朝っぱらから・・・」

「実はよ・・・」

おっちゃんの会社で働くことになったことを伝えた。


「マジかよ?俺と一緒に鳶になるんじゃ
 なかったのかよ?」

「俺もそのつもりだったけど、俺、
 おっちゃんの会社で働いて思ったんや。
 ここで働きたいって」

「そっか、なら、頑張れよ。
 俺とお前は別に離れてようが
 大事なダチに変わりないしな」

朝っぱらで、しかも、寝起きのくせに、健二はそんな臭いことを言ってくれた。


大阪に行かないといけねぇことも話した。


「で、大阪には行くんか?」

「水嶋と離れたくねぇし、行きたくねぇ・・・」

「だよな~」


一通り話すと俺は、健二に早く着替えろと急かした。


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