運命のヒト
「やっぱり、健二のことも好きなんや~!
 あっ、ヒロのことも好きなんや~!!」

俺はヤケクソになってそう言ってしまった。


「違うよ・・・。
 私はゆぅ君だけが好きだよ!」

だけど、水嶋はそう言ってくれた。


嬉しいことを言ってくれんじゃねぇかよ。


「俺も水嶋だけが好きだからな・・・」

可愛い奴だな・・・。

俺は水嶋を思いっきりギュっと抱きしめた。

「ゆぅ君ってヤキモチ妬きだね~」

そう言って水嶋は笑う。

違ぇよ?それは、お前だからだよ?


「俺、こんなん初めてや~」

今、俺、真っ赤になってると思う。

「ゆぅ君も私のこと名前で呼んでよ!
 桃子って呼んでよ!」

「えっ・・・、マジで?」

「うん。マジで!!」

俺は、また今度なって言って笑ってごまかした。



俺な、あの日、水嶋に想いを伝えた日。

あの日は、おれにとって大切な日だった。

あの告白は俺にとって水嶋へのプチプロポーズだったんだ。


んなこと言って臭いけどな・・・。

俺、もちろん、水嶋のこと桃子って呼びてぇよ?

だけどな、決めてるんだ。

俺が、いつか、お前にプロポーズをする日まで、そのプロポーズをOKされるその時まで・・・。


もしかしたら、そんなにうまくいかないかもしれない。

だけど、うまくやっていく自信はある。


だから、水嶋がいつか水嶋桃子じゃなくなるその日まで、俺はお前のこと水嶋って呼び
続けたい。


だから、桃子って呼ぶのはもう少しだけ、もう少しっていうか、早くても俺が18になるその日まで、待っててほしいと思う。


それまで、大事に取っておくって決めたんだ。

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