運命のヒト
水嶋と健二の言い争いは続く。


教室が嫌な空気になった。

みんながザワザワし始めた。

なぜか、俺だけが蚊帳の外なのは気のせいか？


そんな周りなんて気にせず、言い争う水嶋と健二。

小田が心配そうな顔をしている。

・・・俺は・・・。


・・・・・やっと二人が言い争いをしている原因を理解できた。

どうやら、水嶋は俺があげた指輪を失くしてしまったらしい。


指輪を失くしたと言ってることはかなりショックだったけど、どうせ学校で落としたんだろうと思った。

だから、探せば見つかると思った。


なのに、何で健二はそこまで怒ってるんだよ？

相変わらず、意味が分からねぇ奴。

水嶋のことだから、ここまで怒ってるってことか？

・・・何なんだよ、お前は。

やっぱり、今でも水嶋のことが好きなのかよ？


健二の言葉が冷たくなっていく。

言いすぎだしな・・・。

俺の彼女にそこまで言うことねぇだろ？


心でそう思っても、二人の間に入っていくことが出来ない。

まるで、二人がカップルで、そのケンカを俺が見ているかのように思えた。

しまいには、水嶋は泣きそうな顔をして飛び出してどこかへ行ってしまった。

俺は、どこが人事のようにそれを見ていた。

健二のキレた顔を久しぶりに見たような気がする。


「健二、お前言いすぎだろ・・・」

「でもよ・・・」

そう言って、何か言いかけたあいつを無視して、俺はある場所へと向かった。


水嶋が向かった方向・・・。

そこには、俺達の思い出の場所がある。


水嶋はきっと、あそこにいると思った。


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