運命のヒト
そんなことを思いながら水嶋に目を向けた。

さっきから、俺達は何もしゃべることなく、ただ歩いているだけ・・・。

俺は水嶋の手を強く握っていた。

このまま、離したくねぇよ・・・。


重い空気だったのか、水嶋が話し始めた。


「本当に、ごめんね。私のせいで・・・」

目にいっぱい涙を溜めていた。

「違ぇよ。全部、俺が悪い」

俺のせいで、本当にごめんな・・・。


水嶋は俺の顔を見ない。

だけど、俺はずっと水嶋を見ていた。



その時、胸元にキラキラするものを見つけた。


それ・・・?ネックレスか?

目を凝らしてよく見た。

どうやら、ネックレスらしい。

だけど、水嶋、昨日まで何もしてなかったよな?


俺は、もう一度目を凝らしてよく見た。

チェーンに何かがついている。


「えっ?それって・・・」


俺は一点を見つめ、そう言った。


・・・それは、紛れもなく俺らの指輪だった。

指輪をチェーンに通してネックレスにしてんのか?


「ん?どうしたの・・・?」

「あっ、なんでもねぇよ・・・」

水嶋に気付かれるとやばいと思って笑ってごまかした。


何だよ・・・。

失くしたって嘘だったのかよ・・・。

安心した。


だけど、それ、何で着けてるんだ?


俺のこと想ってくれてるって思ってもいいのかよ?


俺は、水嶋が指輪を肌身離さず持っていてくれてることが本当に心の底から嬉しかった。

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