運命のヒト
向かっているのは、おっちゃんの会社。


「おっちゃん、来るん遅くなって・・・」

「やっと来たか~!!」

俺が話してるっつ~のに、おっちゃんはそう言って俺の頭を叩いた。


「なんや、彼女とデートでもしてるんか?」

・・・なわけねぇし・・・・。

「俺な、水嶋と別れたんや・・・」

俺は力なくそう言った。

水嶋と別れたことを口に出すだけで、まだこんなにも苦しい。

もう、割り切ったはずなのに・・・。


「そうだったんか・・・」

「俺はあいつのこと今もずっと
 好きなんやけどな・・・」

「それでいい。好きでおったらいい」

おっちゃんはそう言うと、仕事の話を始めた。


「大阪の話なんやけどな」

「うん・・・」

「いつか、俺と一緒に大阪に
 行ってくれるか?」

おっちゃんにまた、そう聞かれた。


前にも聞いていた通り、大阪行きは決定みたいだ。

だけど、まだ、行くとか行かねぇとか俺は話してない。

まだ、そこまで考えられなかった。



「卒業したら、すぐに働きたい」

「そうか、そうか!!」

おっちゃんは快く受け入れてくれた。

何か打ち込めるものがほしかった。



「奥に翔おるし、行って来い!」

おっちゃんにそう言われて、俺は、奥の事務所に向かった。


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