運命のヒト
「もう、卒業とかありえんくねぇ?」

そう言いながら健二は俺の横を歩く。


あいつと別れてからも。

一日、一日を俺なりに大切に過ごしていた。


もう、卒業・・・。

卒業式の話をしながら、俺達は一緒に学校に向かう。



「マジ、早かったな・・・」

本当に早かった・・・。

「優士、今日、言うんやろ?」

「おぅ・・・」

俺は今日、あいつに告る。

二度目の告白。


「てか、何か俺まで緊張してきた~!!」

健二がそう言ってゲラゲラ笑う。

「何でお前が緊張すんや!!」

そう言いながら俺も笑った。


不思議と緊張はしてない。

伝えたいことはたった一言。

好きだから、付き合ってほしい。


「俺ら二人で教室行くんとか
 超久しぶりじゃねぇ?」

「だな・・・」

「桃子に会うんも久しぶりやな」

「だな・・・」



俺達は最後になるであろう、一緒に登校出来る時間をあいつの話だけで過ごした。

俺にとって水嶋は特別なように、健二にとっても特別なんだろうなと感じた。


あいつにとって、俺らもそんな存在でありたい。


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