運命のヒト
しばらくして俺は卒アルを手に取った。


何となく卒アルをパラパラめくっていると、
いきなり健二が後ろを振り向き
話しかけてきた。


「やっぱり、優士は男前やな~」

「うっさいわ!!」


健二なりに俺を楽しませてくれているん
だと思う。

こんな風にいつも俺に元気をくれる。


口に出して言ったことはないけど、
ありがとうな。



それから、一人ずつ呼ばれてセンコウからお祝いの言葉をもらった。

「優士は、いつも健二と一緒に悪さばかり
 やってたな。
 だけど、3年になって授業にも
 ちゃんと出ていたし、先生は嬉しかったぞ」

嬉しかったか・・・。

それは、水嶋のおかげだったん
だけどな・・・。


「今日もちゃんと卒業式に出たし、
 優士も成長したな」

「卒業式ぐらいちゃんと出るわ」

それもこれも全部、あいつのおかげだ。


「仕事するんだろ?大変だと思うけど、
 優士らしくがんばれよ!!」

「センコウ、俺、がんばるわ!」

俺の精一杯の返し。




それから、みんなと3年1組ともさよならして、外に出た。


写真を取ったり、最後の別れを惜しむように話したり・・・。


俺は、健二と二人でそんな光景をただ眺めていた。



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